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2012年6月 4日 (月)

錯覚の科学⑤・クリストファー・チャブリス,ダニエル・シモンズ

⑤俗説・デマゴーグ・そして陰謀論       原因の錯覚

子供の頃から予防注射を打つのは当たり前の事と思っていた。
自分を守る為にも必要だと!
かっては日本脳炎と言う予防注射も打ったと記憶している。
ハシカの話だ!
アメリカでの実例で32人の感染者が出た。2人しか予防接種を受けていなかった。
ここの感染拡大阻止と治療に30万ドルの費用がかかった。
アメリカでは、「個人的信条による予防接種拒否」 を申請できる。
何故接種させないのか?
「原因の錯覚」 それを起こす3つの片寄り。
①パターンを求めたがる傾向。
②二つのものの相関関係を、因果関係へと飛躍させる傾向。
③時系列的な前後関係のある物語を好む傾向。


自閉症と言う病気がある。
110人に1人が発病している。
自閉症の症状が、ワクチンの接種を受けたあと、しばらくして出る例が目立つそうだ。
この結びつきに、因果関係を考えた。
原因の錯覚の三大要素、パターン・相互関係・前後関係がそろった。
科学的には関係は証明されなかったようだ!
しかしここでスター女優が登場する。
自分の子供が自閉症になる。
その原因を探し、誤ったと言うか、ワクチンに原因があると主張した。
これがいわれなき恐怖を煽った。
そしてわが子に予防接種させない親が増える。
アメリカではワクチンの接種率が高い。
予防接種を受けれない子供が50万人いる。何らかの障害があるので受けれない。
この場合、他の子供が予防接種を受けている事をあてにするしかない。
人は統計より実話に弱い!
関係無いと言っても、個人的な話の方を信じる!
これはマスコミも問題がありそう。
煽っていると言う感じがしないでも無い!

相関関係と因果関係!
相関関係は因果関係とは違う。
ワクチンの接種後の自閉症の増加。
同じく自閉症の増加と、ソマリア沖の海賊の増加の時期が同じ!
どちらも相関関係はある。がどちらも因果関係があるとは思えない。
著者が面白い例を出している。
①ジョーイは兄から何度も何度も殴られた。翌日彼の身体はあざだらけになった。
②ジョーイのいかれた母親が、彼に怒りを爆発させた。翌日彼の身体はあざだらけになった。
状況説明でほのめかされていることから反射的に原因を推測する。
推理を加えた物語を、その必要無い物語より強く記憶する傾向がある。
①は明らかに原因は兄だ。
②はどう推測するのだろうか?母親が殴ったと解釈するのか?

戦争も会社経営も、原因の錯覚を逃げれない。
ある出来事を時系列的に捉え、前の事が後の事を生じさせたと考える。
一つの結果にはかならず複数理由や原因がと言う事実が、曇らされる。
著者言う、会社経営の成功も失敗もすべてCEO一人のせいにするのは、原因の錯覚の古典的な例である。

原因を推理する事はたやすい。が都合のいいように原因を推理するのが上手過ぎるのが問題と言う!

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