中傷と陰謀 アメリカ大統領選狂騒史・有馬 哲夫
どこにでもいそうな凡人が、いかにして「世界一の権力者」に仕立て上げられるのか。鍵を握るのは政策ではなく、選挙参謀の戦略である。誹謗中傷、あら探し、映像トリック等何でもあり。テレビ時代のアメリカ大統領選挙は、メディアを駆使した壮大な足の引っ張り合い、ネガティブ・キャンペーンの歴史だった。
アイゼンハワー、ケネディからレーガン、ブッシュ・ジュニアまで、その情けなくも恐ろしい舞台裏とは。
以前読んだ本にあった。
ケネデイ対ニクソンのテレビ討論。
これをラジオで聞いていた人は、ニクソンの勝ったと思ったようだ!
がテレビで見ていた人は、ケネデイの勝ちと思ったようだ!
これを覚えていた!
なのでこの本もすらすらと入っていけた」。
最初に、ゴア対ブッシュの選挙戦が紹介されている。
凡戦か?名勝負か?
かっては、指導力があり、尊敬できるかどうかが基準であった!
が今は違うと言う!
自分を気にかけてくれるのか?候補者に親しみが持てるのか?
政策実行力より優先されて来ているようだ!
テレビが変えたとある!
そして歴代の大統領、アイゼンハワー、ケネデイ、ジョンソン、ニクソン、カーター、ブッシュと、選挙戦が紹介されている。
テレビが登場する!ラジオでは聴くだけだが、テレビではイメージが重要になる!
ネガテヴキャンペーンと言うものがよく分かった。
選挙戦も変わって来ている。
昔は長老達が密室で決めていた。
が、今は実力で候補を射止める!
予備選で勝つ事が力を見せる事になる!
そうやって候補者にならなければならない!
ジミー・カーターの話がある。
予備選が始まる。
アイオワ州から始まる。
次がニューハンプシャー州。
アイオワ州は全米の1%の人口で、ここの勝ち負けが選挙を左右しない。
が、最初と言うことで全米が注目する。
ここに1年前から地道な活動をしていた、カーター!
小さな会合にも顔を出して、出席者の名前・住所・電話番号を手に入れる。
選挙の時は顔が知れ渡っていた。
ここで勝利し、その勢いでニューハンプシャー州も制した!
そうして世論を有利に結びつけたと言う。
メディアが根拠もないのに、騒ぎたてた!
よく言う、XXXXを制する者がXXXXを制する!
アイオワを制する者は全米を制する!
ぱっとしない、正直そうなおじさんが、旋風を起こし、奇跡に恵まれた!
ブッシュ対デュカキスのピンポイント・ネガティヴ!
劣勢に立たされたブッシュが放ったコマーシャル!
デュカキスが州知事を務めていた、マサシューセッツ州の第一級殺人の囚人の一時帰宅の問題があった。
この囚人が帰宅している時に、誘拐・刺殺・レイプ事件を起こしている。
これを映像化して、テレビで流した。
テレビニュースがある問題を繰り返しとりあげると、それが重要な問題と思うようになる。
そして他の事が、重要な事が重要でないと思われるようになる。
経済・防衛・環境等のもっと大事な案件に対しても、囚人の問題を出して、デュカキスに出来るのか?
そうやって攻撃したとある。
初め有利だったデュカキス。やむ得ずに攻撃に転じたが、遅かったようだ!
これでブッシュはデュカキスに勝った!
が4年後、クリントンに対しても同じようなネガティヴキャンペーンを行ったが、又か!と言う感じで相手にされなかったようだ!
人間誰しも叩けば、ホコリが出るはず!
気にしてもいなかった事、忘れていた事まで攻撃されれば嫌になるだろう!
堂々と政策で勝負したいと思うだろう!
テレビ映りが良いだけで、親しみを感じれると言うことだけで勝てるような感じがする!
日本の鳩山元総理がそんな感じだ!
面白かったです!
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