東に名臣あり―家老列伝・中村 彰彦
奇策で人心を掴み、壊滅状態の会津藩財政を、数々の殖産興業で立て直した田中玄宰をはじめ、名家ゆえに責任を取ることになった悲劇、才気ゆえ主君から遠ざけられた者など、戦国期から幕末にかけて、幕藩体制が確立する過程で、家中の舵取りを任されることになった六人の家老たちの人生を記した歴史小説短篇集。
東に名臣ありと言うから、東日本の家老が記述されているのかと思ったが、一人西の毛利の家老がいた。
6人の家老的な人物が描かれる。戦国時代から幕末まである。
戦国時代が3人である。これは家老ではないのではないかと思うが・・・・
武田家家臣、小山田信茂。直江山城守兼続。後藤又兵衛である。
直江山城守兼続は、書かれ過ぎと思うほど書かれている。
後藤又兵衛はもよく記述されている。
小山田信茂をここまで記述しているのは初めてである。
明智光秀、小早川秀秋と並び、裏切りの代表的な武将か?
生まれてから信玄に仕えている。が一族は小領主で、守護職武田氏と争っていたようだ。
桓武平氏の末と言う!甲斐源氏の武田氏とは争う中だった。
眉あくまで濃く目は切れ長、ふっくらした顔立ちの美男で、かつ兵法ばかりではなく礼法と漢籍にも通じていたと言う!
将来を嘱望されていたようだ!
信玄亡き後、勝頼に愛想を尽かし裏切る。
自信が裏切る前に、穴山信君が裏切っている。
裏切りも戦場で裏切るのではなく、戦う前に裏切る。
これは 『返り忠』 と言われ、さほどの悪行とは言えなかったようだ!
が自分の居城に誘い、頼ってきた勝頼を追い返す。やはり悪行ではないのか!
頼った相手が悪かったのでは?
織田より徳川を頼るべきだった・・・・・・・
後藤又兵衛、嫉妬の世界になる。
後藤又兵衛については、司馬遼太郎でイメージが出来上がっている。
そりゃ、黒田長政も嫌うだろう!長政の器量ではそこまでだったと言う事なのか?
部下が出来るのは、主君にとってどうなのか?
まして主君を主君と思わない部下ならば・・・・・・
関ヶ原の合戦時、藤堂高虎がどうすべきか聞いた。川を渡るべきか?
黒田長政をさておいて、後藤又兵衛に!
何が何でも渡るべし!
戦いは勝利になるが、長政は面白くない。
もっと面白いのは、長政が自分に代わり指揮できるものは誰かと聞く!
答えは、「長政様以外におりません!」 が正解!
が正直に言ってしまう。 「」後藤又兵衛と!」
とたんに機嫌が悪くなる!
男の欲がある!長政が扱えなかった後藤又兵衛を、俺なら扱える!
この辺りになると、著者とよく共著の山内昌之が詳しいのではないか?
江戸時代と幕末で3人記述されている。
が興味深いのは、本の題名の 「東に名臣あり」 の会津藩家老、田中三郎兵衛玄宰!
初めて聞く名前である。
知る人知っているのだろう!
会津藩と言えば保科正之!
著者の得意な人物である。
その時期に、天下の3家老がいた。尾張の成瀬隼人、紀州の安藤帯刀、会津の田中三郎兵衛正玄!
田中三郎兵衛玄宰は、田中三郎兵衛正玄の末である。1760年代の話になる。
いずこも同じで、藩財政は苦しい。
この時期に一度家老を辞す。
そして市中?の声を聴き、改めて家老に復帰する。
許した主君もえらいと思う!松平容頌!
会津藩、寛政の改革!
地場産業を栄えさせる。摂津の杜氏、播磨の麹師を呼び酒を改良?する!
キノコに良いように土壌の改良を行う。
朝鮮人参を領内に植える。
鯉の稚魚を河川に放流する。
漆と?を改良する。
会津漆器を長崎でオランダと交易する。
ありとあらゆることをする!
そして藩校を建てる。教育こそが根本と言う事だろう!
米百俵の精神か?
主君がコツコツと集めた、忠孝譚の逸話集がある。
これを教科書として使う。
最後は跡継ぎの問題を解決する?誤魔化す?
跡継ぎが不安である。4歳で病弱だったようだ。
亡くなれば家名断絶!前藩主の側室が妊娠していたとして、水戸藩主の子供を貰い受ける。
よくばれなかったと思うが、ばれていても幕府もそのままにしたのか?
よく知られていないが、もっと評価されてもよい人物と思う!
この3人が印象深かった!
賊軍の会津だから、話題になっていないのか?これが西国ならもっと話題にばっていた・・・・・
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