オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」・鈴木薫
民族問題を克服した超大国の柔らかい支配。西欧の見た“征服者”は、寛容なる文化国家だった。キリスト教徒や異民族との共存に成功した、トルコ人によるイスラム超大国の「柔らかい専制」の秘密に迫る。
昔読んだ本を読み返した。
最近中欧によく行っている。 行けばどうしてもオスマントルコの影響が言われる。
ブルガリアのガイドさんは今でもトルコをよく言わない!
我が家はトルコに興味がある。 そう言う意味で読み返した。
トルコについては、逆の意味ではないが、「塩野七生 海の都の物語」 に出て来て、宿敵トルコの章があり、これを読むほうがよく分かるのではないか?
トルコは他の本にも記述が多い。どうしても地中海を舞台にすれば、トルコは避けて通れない!
六百数十年存続した帝国。一つの王朝で続いている。
首都イスタンブール。かってビザンティン、コンスタンティノープルとも言われた。 1000年の都である。
一度行ったが、喧騒の町だった。凄い街と思った!
オスマントルコは柔らかな専制と言う。
日本ではそれ程歴史に登場しない。
メフメット2世が登場する。コンスタンティノープルを攻め落とす。
過酷な抑圧者と思われている。
その当時のキリスト教は、他宗教に対して寛容では無かったと言う。 抑圧者であったと言う。
がイスラムは寛容だったと言う。
問題だったのは、単純に考えてキリスト教徒とユダヤ教徒。
が貢納を選べば、一定の行動制限と貢納が義務化されるが、保護される。
固有の信仰と法と生活慣習を保ちながら自主的生活を営むことが出来る。
「剣かコーラン」の選択は、アラブの偶像崇拝者に対してのものと言う。
スレイマン大帝の時、反ユダヤのデモが起こったが、鎮圧された。
キリスト教徒の国とは違ったようだ・・・・・
言葉も多言語国家と言う。
シーア派とスンナ派の対立。
中東の大国、トルコ(スンナ派)とイラン(シーア派)。
これは現在まで続いている争いなのか?
そのあたりは詳しく記述されている。
相続、後継者は将来の騒動の元は絶っている。弟は殺す!
モンゴルは末子相続だったが、トルコは順位は問題ではない。 支持する勢力はどちらもある。
が女は怖い! スレイマン大帝の二人の妃。 当然どちらも子供がいる。後継ぎは自分の子供にならしたい。
そうして争いがおこる。 後妃が有利になるが、子供が3人もいれば又争いがおこる。
後妃も望まぬ息子が後継ぎになる。
オスマン帝国に赴任したハプスブルク家の大使が記述している。
トルコでは羊飼いの子供でも大臣になれる。
業績と能力の報酬と言う。 しかるにオーストリアは、全てが生まれによって決まる。
デウシルメ、人材を確保する方法。 キリスト教徒の子息を集める。
8~20歳。 イエチェりの人材を確保する。誰でも良いというわけではなく健康そうで欠点のないものが選ばれる。
そうして教育する。 この中から、サルタンの宮殿に入れば能力次第で宰相までなれる。
いくらでも例があると言う。 裁判も公正だったと言う。
税金のシステム、奨学金等が記述されているが面白い。
世界帝国なのでそれなりに優れている。
「柔らかい専制」 は“ゆるやかな統合と共存のシステム”と、それを外側から「鉄のたが」をはめる “強力な支配の組織“から成り立っていた。
西欧の軍事的技術格差がトルコに衝撃を与えた。
そうして解体して行く。 分かり易い本です!
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