本・戦争の科学―古代投石器からハイテク・軍事革命にいたる兵器と戦争の歴史・アーネスト・ヴォルクマン
科学がいかに戦争に役立ってきたかをまとめた歴史書である。勝利は神々への信仰によると信じられていた古代から、ピンポイント爆撃の誘導ミサイルが世界を驚かせた湾岸戦争まで、戦争と科学の蜜月をつづった力作だ。
これは面白い本である。興奮の書である。
まずマサダの要塞の攻防戦から始まる。
この攻防戦を決したのも科学である。
攻城砲が開発される。
それから古代からの武器の変移の事が記述されている。
これが分かり易く面白い。
矛盾の世界である!
次から次に新しい武器、戦術が開発される。
研究され新しい武器、戦術が勝ち上がる!
古今東西、同じような兵器が出来る。
古代は戦車があった。
チャリオット!
確か秦の始皇帝も戦車に乗っていたと思う。
アッシリア・ペルシャ・ギリシャ・・・・・・
アレキサンドロスがいる。
アレキサンドリアを造り、学問の府とする。
科学者が研究する。
カタパルトの弾道等を研究する。力学である。
アルキメデスの名前が出て来る。
大変な能力、頭脳の持ち主である。
ローマ帝国がある。
技術を軽視していた????
土木技術に建築技術はあったと思うが・・・・・・
ポエニ戦争。
海軍国カルタゴの艦船を分解研究してコピーを造ったと言う。
分解して同じ物を造れるのは技術があると思うが・・・・・・・・
イングランドの長弓兵の話がある。
1415年のイングランド長弓兵とフランス騎士団との戦いがあった。
これはアイザック・アシモフのエッセイで読んだ事がある。
イングランドがフランスに完勝したと!
イングランドの戦死者113人に対して、フランス騎士団1万人の戦死者と言う。
騎士団は華麗な高価な甲冑を身につけている。騎士と言う特権階級である。
が、今回読んでみて、その覇権も35年しか続か無かったと言う事を知った!
この長弓兵の弓も科学である。
弓の材質、矢の材質・形状等最適の物を使う。
長弓とあるように、射程距離が長い。
アウトレンジである!
向こうの矢が届かないところから撃つ!
はっきりと兵器の差が出たと言う。
甲冑もクロスボウに対しては有効だったようだ。
長弓兵もフランスの大砲に敗れる。イングランド4500名の内、3774人が戦死したと言う。
35年後である・・・・・・・・・
中学校の時の社会の授業で歴史があった。
この時、十字軍の話で、攻められているイスラムの方が科学は進んでいると教えられた。
その成果を逆にヨーロッパに持って帰っている。
との話は衝撃的であった・・・・・・・
この本にもその辺りは詳細に記述されている。
塩野七生、十字軍物語にも詳しく記述されていた。
大砲、鉄砲、ライフルと改良されて行く。
ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ガリレオ・ガリレイらの知った名前が出て来る。
兵器の改善、改良に協力している。能力はある。
力学になってくる。
砲に対する防御。砲の圧力に耐える壁・土塁を造る。
こうなってくるとイタチごっこになる。
科学が重要になる。
フランスは科学者を集める。
航海術、羅針盤等も研究する。
食料を長期保存できる出来る方法を考える。
初めはビン詰めだったようだ。
後に缶詰めに変わる。
ドンドン研究されて行く!
中国は、日食の時間をイエスズ会に予想させる。
同じく中国の宮廷の科学者に予想させる。
結果は中国の負け!
皇帝は科学の差を認め、科学の復旧に努める。
科学者は兵器にどうかかわるのか?
技術者と言うより科学者である。
中世、ルネッサンスの頃からと思うが、大量破壊兵器が登場する。
この開発に対してどう接するか?
ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ガリレオ・ガリレイがいる。天才である。
数々の兵器を開発する!
が、芸術家としても優秀である。
科学者が毒ガス、潜水艦、タンク(戦車)、飛行機、ド級戦艦から超ド級戦艦、暗号解読へと科学者が動員される。
航海における現在の位置の測定方法もある。
優秀な頭脳を塹壕戦で戦死させる。
兵器を開発するのに良心はいるのか???
ユダヤ人は頭脳明晰である。
がユダヤ人と言うだけで拒否される例も多い。
先日見た映画、イミテーションゲームの話がある。コンピューターの基礎を造っている。
そして核開発の話になる。
科学者は何処まで協力するのか?
ドイツに渡すぐらいなら連合軍、イギリス・アメリカに渡した方が良い。
ヒトラーに追われたユダヤ人科学者は優秀である。
原爆開発については、沢山の高名な物理学者の名前が出て来る。
ドイツの開発は方法が間違っていたようだ。幸運にも!
科学者は祖国の為に協力する???
出て来て欲しくないが当然出て来る名前がある。
石井四郎博士!731細菌部隊か???
ドイツ博士ヒューベルタス・シュトルクホルト!
どちらも細菌兵器を開発している。
捕虜を人体実験している。
がアメリカはこの知識が欲しい。
両者とも戦争犯罪から免れる。
ソ連は死刑にしたかった。自国民を殺されている。
がドイツの技術は進んでいる。
日本のこの細菌戦の分野は進んでいる。
アメリカは自国の技術に取り入れたい!
そんなものなんだろう・・・・・・・
申し訳ないが、やはり裁いていた方が良かったと思う!
ベトナム戦争。
北ベトナムにダムがある。多大な電力を供給している。
ここはソ連の最精鋭の対空兵器が守っている。
ダムを爆撃して、決壊させるのが良いが、それをすれば何万もの民間人が死ぬ。
発電設備のみ攻撃できれば一番良い。がそんな精度は無いと思われている!
アメリカも攻撃できないが、ある日攻撃してきた。
守る側はあわてなかったようだ。
があわてた!
レーダーが無力になり、レーダーの電波をたどって逆に攻撃されてレーダーは破壊される。
そうして発電所に落とされた爆弾は全弾命中した!
レーザーによるピンポイント攻撃である。
状況は一変したようだ!
読んでいて思ったが、やはり勝敗を決めるのは技術なのか?
精神力もあるが、これだけ兵器の移り変わりを次から次へと並べられると、そう思う!
こう言う本を歴史の副読本にすればよいと思うが・・・・・・・
大変面白く一気に読めました!
« 映画・ターミネーター:新起動/ジェニシス | トップページ | 本・合理的避戦論・小島英俊・東郷和彦 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 本・零戦 その誕生と栄光の記録(2012/12)・堀越 二郎(2016.04.23)
- 本・韓国人がタブーにする韓国経済の真実(2011/6)三橋貴明・室谷克実(2016.04.22)
- 三橋貴明の、「大マスコミ 疑惑の報道」を読んで……… 万華鏡写輪眼の瞳術「別天神」(2016.04.21)
- 本・愚韓新論(2014/2)三橋貴明(2016.04.20)
- 本・物語 イランの歴史 誇り高きペルシアの系譜・宮田律(2016.04.19)
「インテリジェンス・国際情勢」カテゴリの記事
- 本・愚韓新論(2014/2)三橋貴明(2016.04.20)
- 本・新・地政学 - 「第三次世界大戦」を読み解く (2016/3)・山内 昌之・佐藤 優(2016.04.14)
- 本・私の「情報分析術」超入門: 仕事に効く世界の捉え方 (2014/9)・佐藤 優(2016.04.12)
- 本・ニッポンの大問題 池上流・情報分析のヒント44 (2014/3)池上 彰(2016.04.11)
- 池上彰の政治の学校(2012/9)・池上 彰(2016.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント