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2015年7月13日 (月)

本・戦争の科学―古代投石器からハイテク・軍事革命にいたる兵器と戦争の歴史・アーネスト・ヴォルクマン

科学がいかに戦争に役立ってきたかをまとめた歴史書である。勝利は神々への信仰によると信じられていた古代から、ピンポイント爆撃の誘導ミサイルが世界を驚かせた湾岸戦争まで、戦争と科学の蜜月をつづった力作だ。

20150713_book1

これは面白い本である。興奮の書である。
まずマサダの要塞の攻防戦から始まる。
この攻防戦を決したのも科学である。
攻城砲が開発される。
それから古代からの武器の変移の事が記述されている。
これが分かり易く面白い。
矛盾の世界である!
次から次に新しい武器、戦術が開発される。
研究され新しい武器、戦術が勝ち上がる!
古今東西、同じような兵器が出来る。
古代は戦車があった。
チャリオット!
確か秦の始皇帝も戦車に乗っていたと思う。
アッシリア・ペルシャ・ギリシャ・・・・・・
アレキサンドロスがいる。
アレキサンドリアを造り、学問の府とする。
科学者が研究する。
カタパルトの弾道等を研究する。力学である。
アルキメデスの名前が出て来る。
大変な能力、頭脳の持ち主である。

ローマ帝国がある。
技術を軽視していた????

土木技術に建築技術はあったと思うが・・・・・・
ポエニ戦争。
海軍国カルタゴの艦船を分解研究してコピーを造ったと言う。
分解して同じ物を造れるのは技術があると思うが・・・・・・・・

イングランドの長弓兵の話がある。
1415年のイングランド長弓兵とフランス騎士団との戦いがあった。
これはアイザック・アシモフのエッセイで読んだ事がある。
イングランドがフランスに完勝したと!
イングランドの戦死者113人に対して、フランス騎士団1万人の戦死者と言う。
騎士団は華麗な高価な甲冑を身につけている。騎士と言う特権階級である。
が、今回読んでみて、その覇権も35年しか続か無かったと言う事を知った!
この長弓兵の弓も科学である。
弓の材質、矢の材質・形状等最適の物を使う。
長弓とあるように、射程距離が長い。
アウトレンジである!
向こうの矢が届かないところから撃つ!
はっきりと兵器の差が出たと言う。
甲冑もクロスボウに対しては有効だったようだ。
長弓兵もフランスの大砲に敗れる。イングランド4500名の内、3774人が戦死したと言う。
35年後である・・・・・・・・・

中学校の時の社会の授業で歴史があった。
この時、十字軍の話で、攻められているイスラムの方が科学は進んでいると教えられた。
その成果を逆にヨーロッパに持って帰っている。
との話は衝撃的であった・・・・・・・
この本にもその辺りは詳細に記述されている。
塩野七生、十字軍物語にも詳しく記述されていた。

大砲、鉄砲、ライフルと改良されて行く。
ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ガリレオ・ガリレイらの知った名前が出て来る。
兵器の改善、改良に協力している。能力はある。
力学になってくる。
砲に対する防御。砲の圧力に耐える壁・土塁を造る。
こうなってくるとイタチごっこになる。
科学が重要になる。

フランスは科学者を集める。
航海術、羅針盤等も研究する。
食料を長期保存できる出来る方法を考える。
初めはビン詰めだったようだ。
後に缶詰めに変わる。
ドンドン研究されて行く!

中国は、日食の時間をイエスズ会に予想させる。
同じく中国の宮廷の科学者に予想させる。
結果は中国の負け!
皇帝は科学の差を認め、科学の復旧に努める。

科学者は兵器にどうかかわるのか?
技術者と言うより科学者である。
中世、ルネッサンスの頃からと思うが、大量破壊兵器が登場する。
この開発に対してどう接するか?
ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ガリレオ・ガリレイがいる。天才である。
数々の兵器を開発する!
が、芸術家としても優秀である。

科学者が毒ガス、潜水艦、タンク(戦車)、飛行機、ド級戦艦から超ド級戦艦、暗号解読へと科学者が動員される。
航海における現在の位置の測定方法もある。
優秀な頭脳を塹壕戦で戦死させる。
兵器を開発するのに良心はいるのか???
ユダヤ人は頭脳明晰である。
がユダヤ人と言うだけで拒否される例も多い。
先日見た映画、イミテーションゲームの話がある。コンピューターの基礎を造っている。

そして核開発の話になる。
科学者は何処まで協力するのか?
ドイツに渡すぐらいなら連合軍、イギリス・アメリカに渡した方が良い。
ヒトラーに追われたユダヤ人科学者は優秀である。
原爆開発については、沢山の高名な物理学者の名前が出て来る。
ドイツの開発は方法が間違っていたようだ。幸運にも!
科学者は祖国の為に協力する???

出て来て欲しくないが当然出て来る名前がある。
石井四郎博士!731細菌部隊か???
ドイツ博士ヒューベルタス・シュトルクホルト!
どちらも細菌兵器を開発している。
捕虜を人体実験している。
がアメリカはこの知識が欲しい。
両者とも戦争犯罪から免れる。
ソ連は死刑にしたかった。自国民を殺されている。
がドイツの技術は進んでいる。
日本のこの細菌戦の分野は進んでいる。
アメリカは自国の技術に取り入れたい!
そんなものなんだろう・・・・・・・
申し訳ないが、やはり裁いていた方が良かったと思う!

ベトナム戦争。
北ベトナムにダムがある。多大な電力を供給している。
ここはソ連の最精鋭の対空兵器が守っている。
ダムを爆撃して、決壊させるのが良いが、それをすれば何万もの民間人が死ぬ。
発電設備のみ攻撃できれば一番良い。がそんな精度は無いと思われている!
アメリカも攻撃できないが、ある日攻撃してきた。
守る側はあわてなかったようだ。
があわてた!
レーダーが無力になり、レーダーの電波をたどって逆に攻撃されてレーダーは破壊される。
そうして発電所に落とされた爆弾は全弾命中した!
レーザーによるピンポイント攻撃である。
状況は一変したようだ!

読んでいて思ったが、やはり勝敗を決めるのは技術なのか?
精神力もあるが、これだけ兵器の移り変わりを次から次へと並べられると、そう思う!
こう言う本を歴史の副読本にすればよいと思うが・・・・・・・
大変面白く一気に読めました!

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