本・聖断 昭和天皇と鈴木貫太郎・半藤 一利
聖断がくだり、そして戦争は終わった―。連合艦隊の壊滅、沖縄の陥落、広島・長崎への原爆投下、ソ連の満洲侵攻など、刻一刻と破局へと突き進んでいった敗戦末期の日本。本土決戦が当然のように叫ばれ“一億玉砕論”が渦巻くなか、平和を希求する昭和天皇と心を通い合わせ、二人三脚で戦争を終結へと導いたひとりの老宰相がいた。昭和史最大のドラマである「日本敗戦」を描いた不朽の名作。
「映画・日本のいちばん長い日」を観た。
この本は少し前に買っている。
読み返したいと思っていた。
映画のせいで読む順番が早くなった。
日本人なら読むべきである!
こう言う事を言うと、何か言われそうである。
が、一気に読めた本である。
著言うところでは終戦4部作になるそうだ。
「日本の一番長い日」 「原爆が落ちた日」 「ソ連が満州に侵攻した夏」 「聖断」
全部読んでいるが、半藤一利の昭和史の見せ所になる。
はっきり言えば、泣けてきて読んでられなくなる。
「原爆が落ちた日」の第3部は原爆が落とされてからの状況である。
読んでいられなかったのを覚えている。引き続き読み返したい!
運命と言うものがあるのだろう??
鈴木貫太郎は先妻を無くし後妻を貰う!たか夫人である。
幼稚園の教師から、昭和天皇の侍女として引き抜かれる。
2.26事件で、襲われた鈴木貫太郎の止めを刺すことを止めさせた。
鈴木貫太郎は、奇跡的に命を留めた。
後の終戦の内閣を天皇自ら受ける様に頼まれる。
なにか運命的なものを感じるが・・・・・・・・・
半藤一利の持論がある。
終戦へと導いたのは、かっての賊軍の藩の人間である。
山本五十六も含んでよいと思うが、長岡。米内光政(盛岡)。井上成美(仙台)。
鈴木貫太郎(関宿)・・・・・・・・
戦争に突っ走ったのが薩摩・長州・土佐と言う。
映画・役所浩司の山本五十六の場面に、長岡出身の飛行長のの部下が、薩摩・長州だった。
わざわざこの場面を入れていた。
鈴木貫太郎の生い立ちがある。
政治的な動きは無い人である。
昭和天皇とは心と心で結びついている。
子供の頃に世話になった侍女が、妻でもある。
いろんなエピソードが記述されている。
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、ワシントン・ロンドン軍縮・シナ事変と続く。
軍人である。鈴木貫太郎と言う人が良く分かる。
そうして2.26事件を迎える。
運命が終戦内閣を組閣させる。
断るが、天皇たっての願いである。
「おまえしかおらぬ!」
信頼できるのは、おまえしかおらぬと言う意味なんだろう・・・・・・・・
今回演じたのは山崎努、前作は笠智衆。ドラマ坂の上の雲では赤井英和が演じていた。
みんな適役、好演だったと思う。
山崎努は好きな俳優である。
息子一が秘書官になる。
いざとなれば身代わりになる覚悟だろう・・・・・・・
組閣については、陸軍海軍が問題になる。
下手すれば組閣出来ない。
最初に陸軍に行く。
陸軍の条件をあっさりのみ、阿南惟幾を指名する。
昭和天皇と阿南惟幾も関係が深い。
昭和天皇の乱れた服装を直す場面がある。
親が子供に接する態度のようだったと!!
5月に東京大空襲がある。
もはや絶望的である。
この時期にも本土決戦を叫んでいる。
リメイク版での天皇の会話のこの本にある。
フランス・ナポレオンの話。
サザエのツボの話もこの本に出ている。
映画を見る前に読んでおけば分かり易いと思う。
ルーズベルト大統領が亡くなる。
この反応がドイツと日本では違う。
日本は敬意を表した弔意の無線放送を行った。
ドイツは愚かな大統領と罵ったようだ。
7年戦争でロシアの女帝が亡くなり、プロシアが生き返った例がある。
ドイツはその再来を期待したようだが・・・・・・・・
(もっともドイツは弔意に対して大島大使にクレームを付けた。陸軍が騒ぎ出したようだ・・・・・)
この弔意が連合国をも動かした???
元駐日大使グルー、対日心理戦争課課長のエリス・ザカリス大佐。
どちらも鈴木首相を知っている。
ある種の、無条件では無く、条件を認めれば降伏するのではないか??
その条件は天皇制に手を付けない事だろう。
ポツダム宣言は無条件降伏しか認めない。
が日本からも軍に内密でワシントンに問い合わせる。
「無条件の中に何が含まれるのか??」
落としどころが見えてくる。
がアメリカ大統領は世論を気にする。
ドイツと同じく日本も戦争犯罪人を裁判にかけなければならない。
(もっとも日本には条件降服を認めても良いと言う意見もあったようだ。チャーチルもそう思っていたようだが・・・・・・)
が、海外にいる日本兵を武装解除して降伏されるのは誰か?
ドイツは負けて戦線が縮小している。
が日本はまだまだ海外に沢山の兵がいる。
これを武装解除して帰国させるのはどうするか??
天皇しかない!!
冷静に計算すればそうなるのだろう・・・・・・・・
ソ連に仲介を依頼する。
チョッとムシが良すぎる。
対ソ連戦略に凝り固まっていた陸軍が、最後の望みがソ連になる。
相当譲歩しているが、この時機には譲歩ではない。
ソ連は何でも好きな事が出来る。
実際にやった!
もっと早く受け入れていたら良かったのにと思うが・・・・・・・
陸軍が不穏な動きを行う。
天皇が終戦に走るなら天皇を変えても良い!
戦争遂行・国体がまず第一である。
そう考える将校もいる。
降服への受諾の条件は、
① 天皇制の維持と国体の確保
② 占領は小範囲、小兵力で、短期間であること。
③ 武装解除は日本が行う。
④ 戦犯処理は日本が行う。
最終的には①だけになったようだが・・・・・・・
アメリカは落としどころを迷う!
グルーら知日派は、天皇制の維持を明記することを進言する。
が言質を与えればやり難くなる意見もある。
原案には明記するようになっていたが削られる。
明記されていたらどうなっていたか??
最終的には、天皇退位で秩父宮を天皇にする案もあったようだ・・・・・・
ソ連参戦があり、広島・長崎に原爆が落とされる。
この時期に終戦しなければならない。
まだ日本の戦力が残っている今である。
陸軍大臣は2日待ってくれと言う。陸軍をまとめなければならない!
が、遅れればソ連が北海道に侵攻してくる。
そうなれば北海道は分断される。
首相は許さない!
この内閣で鈴木首相はまとめようとする!
まとまらない!
各大臣にどちらか聞く。
イエス、ノーで答えを求める。
首相と同じなんて意見は認めない。
まとめる為に、聖断を仰ぐ!
天皇も自分の役割が分かっている。
首相の家も襲われる!
狂気の時代だったんだろう・・・・・・・・
鈴木貫太郎は、終戦を導くために生き長られたのだろう。
そう言うドラマがあった・・・・・・
陸軍のクーデター計画は「日本の一番長い日」を読まなければならない。
又読んでみたい!
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