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2015年10月 1日 (木)

本・第二次世界大戦 影の主役―勝利を実現した革新者たち(2013/8)⑤太平洋・ポール・ケネディ

日本はあきらかに手を広げ過ぎたと言う。
太平洋戦争に至る日本の軍部の思考や政府の優先事項の判断が、どう言う論理の経路をたどったのかを理解している欧米の読者はいまもってほとんどいないと!
日本陸軍は中国が舞台になる。主戦場と思っている。
バルバロッサ作戦にヒトラーは全師団の3/4を投入した。
太平洋と東南アジアの戦いに、日本軍部は150万の兵力の1/4しか投入していない。
陸軍の主戦場は中国である。

連合軍の反撃のオプションがある。
①   反撃の本土を中国に置く。
②   東南アジア、ビルマ・タイ・マレーシア・インドシナ・シンガポールの奪回。
③   マッカーサー指揮のもとでオーストラリアと統合指揮機構を設立しニューギニア・フィリッピンを奪回し台湾への足掛かりにする。
④   広大な中部大西洋を硫黄島を目指し、沖縄・日本を目指す。

中国、東南アジアからではまず遠い!
東南アジアからはイギリスが主唱していたようだ。
やはり遠い。補給に問題がある。
太平洋戦争の勝敗が決したのは、ビルマではない!!
距離・兵站・地理から言えば南西太平洋から進撃が好都合になる。
マッカーサーがいる。影響力がある。
しかし中部太平洋進撃が驚くべきスピードで加速している。
そのルートが戦いやすく、距離が短かった。
(戦いやすいと言うのは、楽勝と言う意味ではない!)
この作戦ではフィリッピンはほとんど放棄である。
マッカーサーが黙っていない!!
結局フィリッピンは迂回されなかった。
ラバウルは無視されたが・・・・・・・・
ミニッツ提督にそのまま進ませた方が早く戦争は終わったかもしれないが・・・・・
陸軍と海軍の指揮の問題。何処の国でもありそうである。
マッカーサーの問題が多かったみたいである。
自分が一番優秀と思っていたようだ。
自分より劣る人間が上にいるのに耐えられない???

どういう兵器が開発されたのか??
著者が並べてくれている。
①   水陸両用作戦の、兵装システムや戦術の研究にいそしんでいる中級将校がいる。
②   高速空母群の発達。
③   B29の導入。
④   通称シービーの活躍。(海軍建設大隊)
基地・設備・集結点を建設する.工兵なくして軍事的勝利は有り得ない!!
太平洋を渡るには、水陸両用作戦ドクトリン・高速空母群・B29・シービーが必要であった。
⑤   それに潜水艦艦隊の活躍がある。

将来の敵国がはっきりしてくる。日本である。
太平洋を8000㎞進撃する。
海兵隊が実行案を考える。
島への効率的な上陸作戦。
揚陸艇等の開発もある。
地道な努力だったんだろう・・・・・・

1943年以降の制空権を支配するのに、ありとあらゆる航空機が貢献した。
P38ライトニング、P47サンダーボルト、B25ミッチェル、B24リベレーター。
が日本機を一番多く撃墜したのは、グラマンF6Fヘルキャットと言う。
この戦闘機もP51と同様にエンジンを換装したようだ。
高速空母、エセックス級の大量生産がある。
この辺りの日本の空母と言うか、海軍に対する記述は読んでいられない。(情けなくなる!)
日米の比較になる。
事実とは言え日本には問題が多い!!

太平洋の戦いでは、日本は玉砕している。
なので戦いの経験者、熟練者が残らない。
アメリカは上陸作戦も経験した新兵がベテランになって行く。
生き残る事が重要である。

それが後の戦力に繋がる。
もっとも島で退却は出来ないと思うが・・・・・・・・・
戦いに慣れた海兵隊新兵、陸軍が沖縄を攻めたようだ!

超空の要塞 B29がある。
意外な話だが、エンジンの故障が多かったようだ。
墜落した機も多いようだ。
がひとたび望みの高度に達すると、攻撃の手は届かない!
マリアナ、インドからも発進している。が問題は中国本土からの攻撃である。
その為に日本軍は100万以上の兵を不適切な時期に、不適切な戦域に配置していた。
太平洋の基地建造に、シービーは活躍した!!
平和が訪れた時、シービーの兵力は32万5千人と言う。

シービーも最初は小集団からはじまった。
民間の技術者から海軍に転じる。
モリエールは大将にまでなった。それくらい凄い事をやっている。
熟練建設労働者を取り込んだ。
シービーも上陸作戦には同行する。
したがって死傷者も多かったようだ。
簡易滑走路、桟橋、貯蔵タンク、兵舎、病院を建設した。
ガタルカナルで日本はローラーなど主に人力で飛行場を建設した。
がアメリカはブルドーザーがある。
技術レベルが違ったのだろう・・・・・・

潜水艦の話がある。
海兵隊の水陸両用作戦ドクトリン、、高速空母、B29、シービーの4つが協働して太平洋を進撃した経緯にはあまり関係が無い。
アメリカは潜水艦を活用している。
日本の軍艦、商船を多数撃沈している。
パイロットの救助にも活躍している。
アメリカの魚雷は、開戦当時今一だったようだ。
欠陥兵器と言われていた。
が本国の専門家は何も問題ないと!
実際に発射して、惨憺たる結果になった。
ようやく信頼できる魚雷に変わった。
戦争末期まで膨大な日本の商船を沈めた。
Uボートが末期は何も出来なかったのと対照的である。
日本の潜水艦は用法を間違えたようだ。
アメリカの公式海軍史を書いたS・E・モリソンは、たいがい物柔らかい批評をする。
が、日本の潜水艦用法に対しては、“愚かきわまりない”と言っている。
日本は開戦当時の爆雷を使っている。
小型レーダー、ヘッジホッジ、ホーミング魚雷等は存在していない。
ドイツとはレべルが違うのか??
しかし空母ワスプ、ヨークタウンは撃沈している。

巨大な生産力は、資源を正しいところに配分しないと威力を発揮しない。
鉄鋼生産量がいくら膨大でも、エセックス級空母の建造に向けなければ、なんの役にも立たない。
アルミ・ゴム・銅は、B29の製造計画に供給されなければ、何の役にも立たない。
熟練建設労働者は、シービーが編成されてはじめて役に立った。
平底舟は、海兵隊が揚陸艇に改造したことではじめて役に立った。
高性能魚雷は不具合を誰かが突きとめて問題を解決するまで性能を発揮できなかった。
長距離空母作戦は、航続距離の長い給油艦があるからこそ実行できた。
何か一つが傑出しているのではない。複雑に絡み合い、名もなき多くの人の努力がある。
と言う事を著者は、たえず言っている。

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