異能の外交官が初めて公開する「インテリジェンス」の技法。この「情報工学」を官僚だけに独占させておく手はない、ビジネスマン必読。
2007年なので10年にはならないが、それに近い月日である。
が、読んでいても今となんら変わらない!
内容は下記の通りである。
Ⅰ インテリジェンスという名のゲーム
Ⅱ ニッポン・インテリジェンスの潜在能力
Ⅲ 陸軍中野学校という最強インテリジェンス機関
Ⅳ ワールド・インテリジェンス
Ⅴ 今日から使えるインテリジェンスのテクニック
個人的には、イスラエルと中東、中野学校が興味深かった。
インテリジェンスに日本は「秘密戦」という術語をあてた。
(積極)諜報、防諜、宣伝、謀略が含まれる。
中野学校!!
日本では評価されていない??
と言うより悪と考える人がいる。
左翼か?リベラルか?
著者の戦前の諜報大国は、イギリス・ソ連・日本と言う。
戦後は、イギリス・イスラエル・ロシアと言う。
アメリカは入っていない。
巨大な軍事力を持てば、諜報に頼らずに勝てるようだ。
中野学校では、語学・酒の飲み方・歓楽街での遊び方・スリの方法・甲賀流忍術の記憶術等を学ぶ。
日本の伝統的諜報技法を生かす、総合的インテリジェンスを確立する。
見るからにスパイと分かるのは映画だけである。
「天皇陛下」という言葉を聞いて起立する。
そんなことするのは軍人だけである。
そんなところから教育する。
「反ファシスト勝利60周年」という名の対日謀略宣伝が始まる。
何も変わらない!
もっとひどくなっている。
今は70周年記念で、北京で軍事パレードがあり、韓国首相も出席する。
何でも日本に勝利したと言う。
「過去の清算が出来ていないから、靖国問題で中韓と対立し、償い問題で北朝鮮とも国交樹立が出来ず、北方領土問題ではロシアと対立している。
近隣国すべてと対立するのは、近隣国すべてが変な国なのか?
日本に問題があるのか?」
そう言う宣伝戦を仕掛けられる………
現実に仕掛けられているが………・・・
諜報機関のリクルート。
公募型のアメリカに、縁故型の欧露!
ロシアプーチン大統領がKGBに入った経緯が面白い!
思い詰めた「憂国の士」に、「徹底した理想主義者」は敬遠される。
ただでさえ複雑な状況を余計に複雑にする。
「プロパガンダ原則」がある
1、 守勢法と攻勢法。宣伝は攻撃しなければならない。
2、 受動法と能動法。相手の弁解・欠点を指摘する事無く、わが方の計画によって敵を引き回す。
3、 1回法と反復法。常に反復する。
4、 抽象法と具体法。「人心に食い入る宣伝を選び、直接的な利害に訴える」
5、 理性法と感情法。国民大衆には感情法が良い。
小泉首相の郵政選挙を例に出している。
人には学校の成績と異なる、地アタマがある。生きていく上に必要な頭である。成績とは関係ない。
胆力を鍛える。
それを試験する。絶体絶命の状況下で切り抜ける事が出来るのか??
身分を示す物が無い状態でどう切り抜けるか??
これは面白いと思う!
著者の記述にある、ゲーム感覚が必要という話も良く分かる。
ニッポン・インテリジェンスの潜在能力として以下の話がある。
ロシアでは、「アリ・猪木戦」は有名だそうだ。
裏で回っている。
著者はその猪木議員を使って情報を仕入れたようだ。
持っているカードをいかに有効に使うかということのようだ………
外交官は間違いなく引っかけられようとしている。
上海老領事館員自殺事件がある。
この国を信じるのですかね??
相手は孫子の国である。
これは自主申告で免責とすべしという!
テロに怯える姿を見せれば、テロの標的になる。
イスラム国の誘拐殺人を予言している感じがする………
陸軍中野学校という最強インテリジェンス機関で、中野学校に一章を割いている。
中野学校については、もっと評価されても良さそうである。
「謀略」「偵諜」「宣伝」「国体学」「人に対する薬物致死量調」など8編あるようだ。
国体学というのが凄い!
ヒュミント(人的情報)能力を持っている。
カネ・セックス・甘言・脅迫・詐術などあらゆる方法がとられる。
セックスに酒は限度がある。
が金が限度が無い。
金に目が無い人間は信用できない???
「愛」「誠」
謀略と関係なさそうな言葉が長続きする。
脅し、騙しなどは1回きりで終わってしまう。
イタリア・ドイツの敗北を予想し、アメリカ上陸に対するゲリラ戦の計画をする。
いろんな事をやっていたようだ。
堀栄三の名前も出て来る。マッカーサーの参謀と言われアメリカの動きを予測した。
南朝方のイデオロギーに山伏のインテリジェンスを取り入れる。
「この道においては、全てが参考意見に過ぎない。自分で考え、自分で編み出し、自分で結論せよということである」
著者の言うように、日本独特のインテリジェンスがある。忍術・忍びも参考になる。
それを構築しなければならない。
この章は大変面白い!
ワールド・インテリジェンスの例がある。
アメリカ・イギリス・ドイツ・ロシア・イスラエル・北朝鮮・バチカンを例としてあげている。
アメリカ、ウオーターゲート事件がある。これに対する著者の深読みがある。面白過ぎるが………
イラクのフセイン大統領の処刑がある。
これに対するイギリスの対応がある。
処刑された二人の息子の写真で、リビアのカダフィ大佐を脅したようだ。
ドイツ人は頭が良過ぎる。というより考え過ぎると言う事なのか??
東ドイツの情報機関シュタージの話がある。
相当な事をやっていたようだ。
東ドイツの人権弾圧の追及を止めた。
親子・夫婦の密告から教会関係、明らかになれば回復不能の亀裂が走る。
それよりも欧米各国に西ドイツに対する浸透工作の記録が公開される事が恐ろしい。
というのが著者のみたてである・・・・・・・
イギリス流インテリジェンス。
「ウソのような真実」「真実のようなウソ」をたくみにブレンドして工作するのがイギリス流???
ロシアは話題が多い。
今だったら当然ウクライナである。
中央アジアの国々。
ロシア正教会。
バルカン半島。
チェチェン戦争。
プーチン大統領の戦略も面白い。
が、今と比較するとどうなんだろう・・・・・・・・
又最新版の著者の本を読めば面白いだろう。
イスラエルは面白い。
モサド関係の本もよく読んでいる。
「悪魔の弁護人」
魔女とされた被告人に裁判所がつけた弁護士を指す。
どんな屁理屈でも良いので、被告に有利になる論拠を見つけ出す。
同じようにモサドにアマンの情報を徹底的に行い、報告書を首相に提出する。
首相は、その上で政治判断を行う。
「官僚の判断で国を謝ることは、国民に対する背信行為である」
「映画 ワールド・ウオーZ」がある。
これに9人まで同じ意見なら、10人目はどんな意見でも良いので反論しなければならない。
そう言う場面があった。
同じ事なのか???
著者は日本はイスラエルを支持しなければならないと言う。
イスラエルは、アラブ諸国の存在を認めている。
がイランはイスラエル抹殺である。
そのことからもどちらを支持すべきか??
日本には極端な親アラブ派がいるようだが………
このイスラエルの記事は面白い。
日本は、どこまで対応で気のだろうか?
北朝鮮外交があるが、日本は何処までやる気なのか?
核を持つ米中露の思惑がある。日本とは考えが合わないようだ。
中東とも絡んでくる。
イランの核疑惑にミサイルである。
もっと真剣にやれば、攻勢に出れる。
が日本の政治家には売国奴的な政治家も多いようだ………
バチカンの記事もある。
ナチスドイツの逃亡を助けた??
中野学校もバチカンの布教方法を手本にした。
ヨーロッパは複雑と思う。
民族に国家!
「キリストの身体(コルプス・クリスチアヌス)」
① ユダヤ・キリスト教の一神教 ②ギリシャ古典哲学 ③ローマ法。
この3つの概念を総合した文化体系で、西ローマ帝国と、中世ヨーロッパの基本原理。
これを復活させる事が、バチカンの20世紀の基本戦略である。
二重忠誠の問題がある。
国家か宗教か??
21世紀のバチカンの戦略は、中東と中央アジアという。
中国も新疆ウイグルがある。
イスラム国と連携している。
これが、バチカンと中国の和解になっているようだ。
色々話があり過ぎて、忘れてしまう話も多い!
最後にテクニックが紹介されている。
プレゼント!
会食。記憶術、ホテルの利用方法など面白い。
著者の勧めるインテリジェンス必読の本がある。
① 『シグマベスト 理解しやすい政治・経済』松本保美
② 『情報のさばき方 新聞記者の実践ヒント』
③ 日本の古典。古事記を勧めている。
① ②は読んでみたいと思うが………
大変分かり易い、面白い本でした。
又読み返してみたい本である。
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